市場の非効率を突くことが全ての投資家の超過リターン、アルファの源泉だろう。現状の相場水準が幾分下がったとはいえ、個別銘柄には割高感が見られるものも散在する。これまで言われてきた一般的な非効率性のストーリーとは、「中小型株はカバレッジ面などから見放され、ミスプライスで放置されている。だが市場の特性からそうした乖離は永続しない。故に中小型の成長株を買えば、ミスプライスは業績という材料を通じて、最終的に解消される」というものだった。

2010年頃からの中小型株人気をきっかけとし、そして昨年はゴルディロックスに支えられた相場により、かつての非効率性の概念は姿を消しつつあると考えられている。「割安な株が無い」という多方面で聞かれる言葉が全てを象徴している。なるほど、既存のストーリーをベースとした非効率性は消えつつあるのかもしれない。

だが、市場を構成するのは依然人間であり、人が関わる以上はどこかにerrorが発生する。そのerrorはミスプライスであり、情報の解釈であり、誤発注であったりと、様々な形を通して市場の非効率性の構成要素となる。

最近では四半期決算が悪ければ、仮に通期業績に問題がなく、計画線で推移していても売られる銘柄が多くみられる。背景にはゴルディロックスの終焉や過剰流動性相場のアンワインドがあろう。けれど、こうしたヘッドラインの過剰反応で売り込まれた価格も非効率性の1つではないかと考えられる。

また、場中決算の小型銘柄も、仮に開示資料を読み込めば明るい将来を描ける内容であっても、見栄えが悪ければ大きく売られる。発表当日の株価は大きく下落するも、翌日にストップ高をつける銘柄さえ存在している。この地合いの中で、である。こうしたフェアに評価されるまでの時間的猶予が一定程度あるというのも非効率性の1つの形ではないか。

非効率性はかつての姿を変え、いま、ここにも存在しているのだ。数世紀に渡り続いた人間対人間の攻防、そしてそこから生まれる数多くの非効率性は時代を超え、形を変え存在し続ける。
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