中長期投資家の独り言

投資の技術的なこと、心構えなどを気の赴くままに。

カテゴリ:市況 > 株式市場


☆すべてのはじまり

激しい値動きが連続して起きています。2017年まではいわゆる適温相場(ゴルディロックス相場)によって、ボラテリティが過度に抑えられた市場が形成されていました。低金利、イエレン議長の絶妙な市場との対話などが要因だったのではないかと思っています。

2月の雇用統計で30年金利が3%を超え、適温相場の必要条件が一つ外れてしまいました。その後相場は一気に崩れました。債券の相対的魅力や膨らみ過ぎたリスクパリティのポジションのアンワインドなど、色々なことが言われています。

相場崩壊の度に様々な解説がなされますが、「相場が高すぎたことそれ自体が一つの重荷となり、相場下落の要因になったのではないか」そう思っています。



☆いまどこにいるのか

景気サイクルは歴史的な長さで続いています。すべてのものにサイクル存在するのだとすれば、これから一段の好景気となるよりも、サイクルの末期にいると考えるのが自然かもしれません。

一般的に、株式市場の上昇を止めるのは長期金利の急騰か過度な利上げだといわれています。過度な利上げが今後の株式市場を殺す要因になりそうです。3回利上げがコンセンサスとなっており、FRBもそのつもりであることが直近のFOMCで確認できました。

いま景気サイクルの末期にいるのだとすれば、3回の利上げに景気が耐えられるのかをしっかりと観察する必要があると思います。個人的な見解ですが、3回利上げでの景気後退を織り込んで株式市場が天井を売った可能性を疑っています。



☆測るモノサシ

そうはいっても、何かしらのエビデンスがなければ動きにくいのが投資家です。景気に対する一番の先行指標は株価で、景気のピークアウトから半年ほど先行して動くようです。すでに市場は景気の悪化を織り込んでいるのかもしれません。逆に言えば、株式市場が直近高値を抜けられるのなら景気に対する不安は一旦和らぐのかもしれません。

他の指標はリスク性資産への資金の流れです。景気サイクル後半では、リスク性資産への資金流入により、様々なアセットクラスでの資産の価格上昇によりリターンが低下してしまいます。結果としてより高いリターンを求めた資金がハイリスク性資産へと流れ込みます。

ハイイールド債や仮想通貨への資金流入がその象徴だったのかもしれません。一番のリスク性資産である仮想通貨から資金が引き、(盗難という独自のリスクはあったにせよ)それよりずっと前に相場が天井を打ったことは、一つの象徴的な出来事かもしれません。この点については17年末に記事にしています

他にはイールドカーブのフラット化も一般的によく言われる指標です。景気後退の前には2-10年金利差が必ず逆転して、債券市場がシグナルを送ってくれます。現在の金利差は50ベーシスほどで、FRBがあと2回利上げをすれば金利差がなくなり、3回目の利上げで逆転してしまいます。これはちょうど、金利引き上げが景気後退を引き起こすというオーバーキルという別の視点からの推測とも合致します。

そして経済指標、中でもソフトデータが景気に先行して将来を教えてくれそうです。金価格もリスクに先行して上昇する特性を持つので、目が離せません。



☆どう動けばいいのか

今後はますますボラテリティの高い相場が待ち受けていそうです。そしてそれは景気後退を伴ったものになると予想しています。2007年の相場天井も現在と同じ空気が漂っていました。現在の相場は特段のリスク要因が見当たりませんが、そうした中で徐々に市場のモメンタムが蝕まれていた10年前を思い出します。

色々な動き方があるとは思いますが、ボラテリティの高い時には少ない資産を動かすことでハイボラテリティが資産に与える影響を緩和することができます。現金を厚めにしたり、資産を出金したりするのも手かと思います。

景気が天井をうつとすれば、ディフェンシブ性の高い銘柄にウェイトを傾けたり、景気後退を織り込んだ目標株価の設定が必要になると思っています。昨日は目標株価の再設定を行いました。銘柄によってはずいぶんと下方修正され、そうした銘柄に限って下げていたので、相場の下落も妙に納得してしまいました。

最後になりますが、今後はPERの縮小フェーズが本格化すると思います。07年には30倍のPERだった銘柄が08年には3倍、4倍という値段で取引されていました。現在の下落は信用収縮を伴わないものではありますが、収縮の種ができつつある以上、バリュエーション面の値覚えには注意していきたいと思います。

何より大切なのは
ボラテリティに惑わされずに大局観を抱くことで、自分なりの視点を大切にしていきます。

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これは17年7月に公開したものですが、本質的な部分に変化はないため再度掲載します。文中の指標は当時のものです。



アメリカが風邪をひくと、風邪はインフルエンザに化けて、またたく間に世界に感染してしまいます。従って、マクロ経済を見るときはアメリカ経済を中心に見ています。15年にはチャイナショックもありましたが結局のところ下げは限定的でした。市場は程よい均衡点を見つけ、15年末には2万円台を回復するに至りました。

そう考えると、やはり米国景気の動向が今後のグローバルな金融マーケットを占う上で重要だと思います。過去を振り返ってもITバブル崩壊、リーマンショックなど指数の下落幅が50%以上を超える”暴落”と呼んでいい下げは、ほぼ全てアメリカ発でした。

中国が米国のGDPを追い抜くまではアメリカファーストで市場を観察し、”米国発以外の危機は、基本的に買い”のスタイルでいいかと思っています。(中国の経済統計は参考にならないと言われますが、仮に下駄の履かせ方が一定であるならば、統計のトレンドを観察すると趨勢がつかめるかもしれません)

さて、米国についてさらに言うと、全ての指標が警戒域を示しているように思います。

現在の景気サイクルは120か月近い拡大フェーズの最中であり、過去最高期間を更新する勢いです。

株式市場に目を移すと、SP500のPERは18.9倍、益回りは5.2%。10年債の利回りが2.3%ですから、株式と債券を比較したときのスプレッドは2.9%にまで縮小しています。金融危機直後のそれと比べると、随分と縮小している印象です。仮に益回りと10年債が逆転すれば、リスクフリーの債券の方が株式よりも高リターンをもたらすということで、超異常域に突入してしまいます。

クレジット市場ではHigh Yieldと10年債のスプレッドがリーマンショック前レベルにまで縮小しています。(例えば10%のリターンが見込める商品があるとして、金余りで運用難の資金が殺到。結果として価格が上昇することでリターンが低下。逆に、危機時には資金が金融商品から逃避するため価格が下落し、リターンが高まるという具合です。)リーマン前には住宅関連デリバティブなどに資金が集中し、HYと10年債の利回り格差は2.5%にまで縮小していました。市場がリスクを取り、価格を押し上げ、価格上昇を通じて金融商品の潜在リターンが低下したことの表れです。逆に、2008年には資金が逃避し、価格が急落。結果として利回りは跳ね上がっています。


時計の針を現在に戻すと、スプレッド(HY利回りー10年債利回り)は3.7%という低水準で推移しています。金余りにより、市場がリターンを求めてハイリスク商品を買っていることがわかります。


イメージ 2
BTC推移


また、仮想通貨に市場のリスク選好・金余りの姿勢が端的に表れており、リターンを求めた投資家の資金流入が17年上旬まで続きました。FRBの利上げとバランスシート縮小、そしてBTC特有のリスクから、現在の価格は急落しています。行き場を失った資金が仮想通貨という時価総額の小さな市場に流入し、そして通貨リスクと金融引き締めを材料に、流入した資金が一気に抜けています。

07年は住宅関連で焦げ付きが見られ、現在は自動車ローンや学生ローンの焦げ付きが見られます。この2つは市場としてはそこまで大きくないため、大きな崩壊を起こすに至っていないのが実情です。



債券市場ではイールドカーブがフラット化し、景気の先行きの弱さを示唆しています。一般的にイールドカーブのフラット化は景気後退の先行シグナルであることが多く、ITバブル崩壊前も同様の現象がみられました。



何を見ても、現在の相場が危険域にあることは確かです。ですが、カタリストが無い限りは下がらないのが市場というもので、現在はきっかけ待ちといったところでしょうか。全てが逆に行くための必要条件は整っているため、あとは十分条件(カタリスト)が何なのかということが重要になります。自動車市場や学生ローンでは危険なイベントが発生しているものの、市場全体を揺るがす程ではないようです。

そうしたことを背景としてか、ダウはどんどん高値を取っています。「17年内はさすがに何も起こらないだろう、19年は先すぎる、なら18年内か?」そうした思惑からかもしれません。市場関係者やコメンテーターの話を聞くと、どうも18年天井がコンセンサスとなっているようです。

市場は常に上下に行き過ぎる生き物で、常に人を欺き、皆が踊り始めた時、ようやく宴は終わります。そうした特性を併せて考えると、目先の調整はあっても、いまの相場はコンセンサスと比べると案外長続きするのかもしれません。

不安定な危うい均衡状態の中で、残りわずかになった砂時計が時を刻んでいます。


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週明けのマーケットは比較的落ち着いた展開を想定しています。北朝鮮の建国記念日(9/9)を無難に通過したことから、買い戻しの動きが優勢となりそう。特に為替市場においては、建国記念日前日の金曜日に予め円を買う動きが活発化し、107.30まで円高が進行しました。

これまで北朝鮮情勢に一喜一憂していた日本株ですが、為替を中心としたアンワインドの動きから株式市場にもポジティブな流れが波及しそうです。

新興市場においては、中国ICO禁止措置や取引所閉鎖に関するニュースから仮想通貨が急落しており、テーマ株の一角には弱い動きがみられそう。ただ、相場に資金が戻ることから、新興市場全体としては物色意欲が旺盛な中、マザーズ指数も節目の1,000ptを死守するのではと思っています。

アメリカの債務上限も、ハリケーン対策資金との抱き合わせでひとまず懸念は遠のきました。日米ともに、ひとまずはリスクオン相場で上値を試す展開となりそうです。

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